あなたの魅力は何ですか ー就職活動と恋愛の類似性についてー

就職活動は恋愛と似ていると言われることがある。両者が共通して持つ、タイミングや人の縁など運命的な要素について言及されることもあれば、複数の相手を同時に交際を申し込んでいく攻めの恋愛からその類似点を説明することもある。相手への好意を伝えながら、自分を相手にアピールする過程もそうだろう。

 

最近、僕は学生の就職活動に関わることがあった。いま勤めている会社の採用活動であったり、友だち付き合いを続けている母校の後輩からの相談に乗ったり。その中で気づいたのは、自分の魅力に対する理解の差だ。

 

自己PRで「私の強みは◯◯です。それは、〜〜」という定型文。おいおいそれが君の魅力なのか?もっといいとこあるだろうとか、いや全然それ強みでもなんでもないよとかツッコみたくなったり、逆に媚びない態度で自分の価値をより高く売りぬくことに成功していて、こいつ分かってるなと唸らされたり。

 

恋愛と同じように、好きだ、好きだと言われるだけでは、物足りないしつまらない。自分にすり寄ってくる態度が気に食わないと感じたり、逆に媚びない態度で接する人から言って欲しいことをピンポイントで伝えられたりして、忘れられなくなったりする。ちなみに僕は就職活動の面接では、あえて「偉そうに」しゃべることを意識していた。幸運にもこの戦略は上手く行き、面接で落ちたことはほとんどない。

 

こうした差はどこで生まれるのか。僕は、他人から自分が求められた経験と自分の何が他人にとって魅力的なのかを丁寧に自問自答したことがあるかどうかが関係しているように思う。

 

特定の他者と恋愛関係になった時、誰しもが相手は「自分のどこに惹かれたのだろうか」と考える。「私のどこが好き?」という問いかけを相手に投げかけたり、投げかけられたりした経験は誰しもあることだろう。

 

相手から思いもかけない言葉が帰ってくることがある。「あの時のこんな行動が好き」、「こういう考え方に惹かれた」という答えに驚くことは少なくないはずだ。相手の返答にガッカリしたり、意表を突かれたり、有頂天になったり、やっぱりなと思ったり。こうした体験はきっと他者は自分に何を求めているのかという疑問にヒントを与えてくれる。

 

自分には何が出来るだろうと悩む就活生は多い。多くの文系学生が共通して感じることだろう。しかし、企業は今すぐ役立つスキルや能力を学生に期待などしていない。大部分の学生の能力に差などないからだ。実際の業務の中で学べばいいと考えてる、だから、今でも新卒採用慣行が根強く続いているのだろう。良い悪いは別として。

 

新卒学生の就職活動は自分という人間を相手にどう伝えることができるか、それだけが勝負だ。エントリーシートや面接のキモはそこしかない。自分の持つ魅力はどこにあるのか、それは仕事にどう活きるのか。面接はその魅力を分かりやすく伝えるチャンスだ。

 

自分の「魅力」は他者がいて始めて成立する。自分がただ一人存在するだけでは、そこには魅力も欠点も存在しない。他者が自分のどの部分を魅力的だと感じるのか。他者はあなたの魅力によって何を得るのか。それを理解するのに恋愛はきっと役に立つ。